おうち時間ばかりで過ごした今年のゴールデンウィーク最終日。GWらしい特別なことをちょっとだけしてみたい…と思い、ます寿しを買うことに。
「ます寿しを、食べよう!」と思い立ったのは前日の夜。電話予約もできないまま、早起きしてます寿し店が多く集まる丸の内周辺へ。(観光パンフレット等で「ます寿しストリート」と書かれてるあたり)
途中で見かけた滝廉太郎。
この像を見かける度に、越中チャレンジ上級の部で漢字を書き間違えた悔しさが蘇ります。もう二度と漢字間違えません…
目指したのは松川べりにあるお店。安住橋から少し入ったあたり。
幼い頃から家で食べるます寿しといえばこのお店。昔はこのお店以外のます寿しの味を知らなかったほど。ます寿しは私にとってはハレの日のごちそう。年に数回ほどしかお目にかからない特別な食べ物。学生時代は帰省時のお土産として手渡され、戻ったアパートの部屋で一人でいただく…そんな思い出もあります。
このお店のます寿しは1日に作られる数が限られてるため、基本的に事前予約が必要。しかし朝に行けば予約なしでも買えることがある…と聞いてたのでダメ元で勇気を出して行ってみることに。
無事、購入できました。一重で1500円。「鱒の早寿し」がこの店での商品名。
私もこの日まで知りませんでしたが、現在では珍しい国産天然マス使用の鱒の寿しだったんですね。
あまり大々的に「国産天然」と掲げていないのは、この店ではごく当たり前のことだからかもしれません。知らず知らずのうちに、昔から自分は国産天然マスのます寿しを食べていたことに驚きです。
とはいえこのお店のます寿しを自分で購入したのは初めて。食すのも数年ぶりです。
富山について学び始めた5年前あたりから様々なます寿し店の味を知りたくなり、あえてよく知っている店以外のます寿し店ばかり選んでいたため、昔から馴染んでいた味を忘れかけていました。
鱒は裏側なので、ひっくり返してから笹をめくります。
写真を撮りたいために、笹の上から切らずに開封。
写真よりも実物の方が鮮やかな色でツヤツヤしてました。
昼食用に購入したはずなのに、味見のつもりで開封したら…朝食として完食してしまいました。
久しぶりに食した「鱒の早寿し」その味に驚いてしまいました。さっぱりとしててシンプルな味わい。鱒は魚の切り身をそのまま乗せたような鱒そのものの味に近く、酢飯も酸味が少なく食べやすい。
口にした瞬間に気づいたのは「この味が私にとっての、ます寿しの味の元祖」だな、と。
醤油をつけないのが基本的な食べ方ですが、好みによっては醤油があってもいいかもしれません。(ます寿しに醤油をつけるという概念がそもそも私にはありませんが…そういう食べ方もあると知ってカルチャーショックを受けました)
これまで何度「富山で一番美味しい鱒の寿しのお店はどこ?」と尋ねられたかわかりません。そしてその度に、その回答に悩んだかも数えきれません。尋ねたのが知人や友人など大切にしたい人であれば尚更です。(業務用の回答というのも用意していたのは、あまり大きな声ではいえませんが…)
昔の私はこのお店の味だけがます寿しでした。それは他の店のます寿しを知らなかったから。しかし後にます寿しの食べ比べをする機会に恵まれ、富山市内8店舗の味を一切れずついただいたその時から考えは変わりました。
店の数だけ美味しいます寿しがある。一番美味しい店なんてない。店毎に歴史や伝統・こだわりがあり、食感や味もそれぞれだけれどどれも本物のます寿しの味。(但し、個人的にはお惣菜売場のパック入りやコンビニのは除外)
この食べ比べのおかげで好きなます寿しの店は増えました。なので「あなたの一番好きなます寿しは?」という質問にも回答に悩みます。
そもそもます寿しに限らず間違いのないおすすめなんて存在しません。本当に自分の好きなものほど簡単に紹介できない理由はそこにあります。
食べ比べをして一周して戻ってきた、昔から馴染んでいた味。それは一番でも何番でもなく、自分の中では特別なます寿しであることに変わりはありません。これを機にまだ食べたことのないます寿しにチャレンジしてみたいという気分になったGW最終日でした。
【おでかけうさぎの余談】
マスズシ、ますのすしと呼び名も主に二通り、漢字表記も「鱒」「ます」「マス」、「寿し」「寿司」「スシ」と様々ですが…私は「ます寿し」と呼ぶことが多いです。たぶん。