富山市水橋出身・パリで制作活動する映画監督・平井敦士さんが自身の故郷を描いた短編映画『フレネルの光(Retour à Toyama / Return to Toyama)』
監督舞台挨拶つき上映があると知り、予約して ほとり座へ。
実は2月に富山県教育文化会館で開催された「とやま映像祭」で一度観てきてたので、今回は二回目の鑑賞。
初見での感想は…ポカーンとしてしまいました。これといったセリフやストーリーがないまま、唐突にエンドロールがリズミカルに流れてきて…舞台が水橋のフランス映画だなぁ、と。
そして水橋の風景が絵画のように美しく映し出されていたのも印象的で。
今回のほとり座の上映は監督インタビュー冊子付き。2回目の上映が始まる前にさっと一読。
インタビュー冊子を読んでから観たことで、初回に見た時には見過ごしていたシーンや人物のやりとりも、より興味深く観られました。
上映後に平井監督の舞台挨拶。国際短編映画祭「ショートショートフィルムフェスティバル&アジア2021」ジャパン部門優秀賞に選ばれた喜びのコメントから、映画撮影時のエピソードや映画に出演していた家族とのお話など。
私が最も引きつけられた監督のお話…それは「富山を撮ったのではなく、故郷を撮った。その故郷が富山だった」といった内容の話。
この映画のロケ地は富山ですが、富山ロケの映画によく出る立山連峰とか雨晴などの名所は出てきません。誰もが一目で「富山」だと分かるものは特に映されてません。
映し出されてるのは故郷のありのままの姿。そして故郷に対する主人公の心模様。
「立山連峰を撮らなかった」という監督のこだわりは、私も強く共感できるところです。観光カタログみたいな富山ロケ映画作品には最近ちょっと飽き始めてるいることもあって…
それでも映画の中には富山らしい田んぼがあり、海や川があり、雨が降り鉛色の空があり、富山弁を話す人々がいる。
私はこの映画からも富山らしさを十分に感じ取ってました。けれどもそのさりげない富山らしさも、故郷と向き合う主人公を引き立てる隠し味のように思えます。
舞台挨拶でのトークを聴くと、もう一度観たくなってきました。また機会あれば観に行きたいです。この日の監督のお話を思い出しながら…